殺意の接吻 KISS OF MURDER（MSX2/DISK版）のサウンドを本体内蔵FM音源で鳴らしてみよう

「殺意の接吻 KISS OF MURDER」の MSX2/DISK版 ですが、FM音源の検索部分にバグがあり、一部のMSX2+/turboRの本体内蔵FM音源や、拡張スロットに差したFM-PACを認識してくれません。

ディスクにパッチを当てることで、このバグを修正しよう、というページです。

改造しよう

事前準備

• MSX本体と2DDのディスクドライブが必要です。
• オリジナルディスクを書き換えてしまうのは危険です。どうにかしてバックアップして、そちらを書き換えましょう。

改造方法

• MSX2/2+本体の電源を入れて DISK-BASIC を立ち上げてください。MSXturboRを使用する場合は、[1]を押しながら起動してZ80/MSX-DOS1モードにしてください。
• 以下のプログラムを入力、あるいはメディアからロードして、実行してください。

  10 'KISS OF MURDER FM-PATCH 20 CLEAR50,&HD000 30 FOR I=&HD000 TO &HD01F:READ A$:POKEI,VAL("&H"+A$):NEXT 40 DATA 01,F9,01,21,00,D1,11,0D,00,AF,C3,44,01,00,00,00 50 DATA 01,F9,01,21,00,D1,11,0D,00,AF,37,C3,44,01,00,00 60 CLS:DEFUSR1=&HD000:DEFUSR2=&HD010 70 PRINT"INSERT DISK AND HIT ANY KEY":A$=INPUT$(1) 80 A=USR1(0) 90 IF PEEK(&HD111)<>&H3A OR PEEK(&HD112)<>&HFF THEN PRINT"ILLEGAL DISK":END 100 FOR I=&HD119 TO &HD176:READ A$:POKEI,VAL("&H"+A$):NEXT 110 A=USR2(0) 120 PRINT"COMPLETE":END 200 'PATCH 210 DATA 16,00,1E,00,21,C1,FC,7E,E6,80,E5,26,40,B2,B3,D5 220 DATA CD,24,00,21,1C,40,11,8E,30,CD,75,30,38,29,21,18 230 DATA 40,11,8A,30,CD,75,30,30,10,21,18,40,11,86,30,CD 240 DATA 75,30,38,13,3E,01,32,F6,7F,3E,01,D1,E1,08,F1,D3 250 DATA A8,F1,32,FF,FF,08,C9,D1,E1,CB,7E,28,08,7B,C6,04 260 DATA E6,0C,5F,20,B2,14,7A,E6,03,28,E2,23,18,A9

• 「INSERT DISK AND HIT ANY KEY」と表示されたら、「殺意の接吻 KISS OF MURDER」のディスクを ドライブA に入れて何かキーを押してください。すぐに書き換えが行われます。
• 「COMPLETE」と表示されたら終了です。「ILLEGAL DISK」と表示されたときは違うディスクが入っていると思われます（もし製品版でこのエラーが出たときはご報告ください）。
• 書き換えたディスクでゲームを起動すると、どのスロットにFM音源があっても正しく認識するようになると思います。

元に戻すには

• ディスクを元の状態に戻したいときは、上のプログラムの210～260行目を以下のように書き換えて実行してください。

  210 DATA E6,F3,5F,16,00,21,C1,FC,7A,E6,0C,B3,D3,A8,CB,7E 220 DATA E5,28,44,3A,FF,FF,2F,E6,F3,6F,7A,07,07,E6,0C,B5 230 DATA 32,FF,FF,21,1C,40,D5,11,8E,30,CD,75,30,38,2D,21 240 DATA 18,40,E5,11,8A,30,CD,75,30,E1,30,0D,11,86,30,CD 250 DATA 75,30,38,18,3E,01,32,F6,7F,D1,E1,3E,01,08,F1,D3 260 DATA A8,F1,32,FF,FF,08,C9,14,14,14,18,C7,D1,14

雑談

もともとなぜ認識しないのかというと、このゲームのFM音源を検索するプログラムに不具合があるからです。

MSXは、0から3までの4つの基本スロットがあり、それぞれのスロットの下にはさらに0から3までの4つの拡張スロットを設けることができます。

MSX2+までの機種のスロット構成はメーカーごとに異なっており、例えばA1WXとF1XDJでは内蔵FM音源のスロットが違います。

以下の緑色の部分がFM音源のスロットなのですが、A1WXではスロット0-2に、F1XDJではスロット3-3に存在します（MSX SLOT INFORMATION VIEWER ONLINEより）

また、MSXの64KBのメモリ空間には、PAGE0（0000H-3FFFH）、PAGE1（4000H-7FFFH）、PAGE2（8000H-BFFFH）、PAGE3（C000H-FFFFH）の16KB単位で別々のスロットを割り当てることができます（こうして表に出すことでアクセスできるようになります）。

FM音源が存在するかどうかのチェックは、PAGE1(4000H-7FFFH)のスロットを切り替えながら特定の文字列を探すのですが、このスロット切り替えプログラムはとても面倒かつ危険なので、BIOSのスロット切り替えルーチンを使うことが推奨されています。

「殺意の接吻」の場合は、この切り替え部分をBIOSを使わずに自前で実装しているのですが、残念ながら不具合があります。

ざっくりいうと、「殺意の接吻」のFM音源検索ルーチンは、基本スロット3以外では、拡張スロットの切り替えが正しく行われません。

そのため、スロット0-0、スロット1-0、スロット2-0、スロット3-0,3-1,3-2,3-3にFM音源が存在する場合は大丈夫なのですが、それ以外の場所にFM音源があっても見つけることができません。

A1WX/ST/GTなどのPanasonicの2+やturboRは、スロット0-2にFM音源があるため、「殺意の接吻」ではPSGでのサウンドになってしまうのでした。