P6のタイニーゼビウスmkIIをMSXで動かすチャレンジ

PC-6001mkII用タイニーゼビウスmkII（テープ版）にパッチを当てて、MSXで動くようにしてみました。

■動作環境

64KB以上のMSXで動作します（たぶん）が、環境によって、若干動作が異なります。
処理が重いので普通に遊ぶには厳しめですが、高速モード搭載のMSX2+かturboRであれば、それなりに楽しめるかと思います。


1. MSX
   
   • 要64KBRAM
   • 速度切替不可（低速固定）
   • パレット調整無し（タイトル画面のフラッシュも無し）
2. MSX2
   • 速度切替不可（低速固定）
3. MSX2+
   • A1WX系のみ速度切替可（低速→中速）
4. MSXturboR
   • 三段階の速度切替可（中速→高速→最高速）

■実行方法

以下のファイルをダウンロード・解凍してください。
Download MakeXEVmk2MSX.zip

【必要なもの】
・MSX本体、データレコーダ、タイニーゼビウスmkIIのテープ

DIRECT/LOADERフォルダに、MSX用のロードプログラムがあります。

1. PCの音声出力をMSXのデータレコーダー端子に繋いでください。
2. p6loader_1200.wav または p6loader_2400.wav をPCで再生し、MSXで bload"cas:",r と入力してください。
   
3. 無事にプログラムのロードが終わると、画面に「タイニーゼビウスmkIIのテープをセットして RETURNキーをおしてください」と表示されます。
4. データレコーダーに PC-6001mkII用のタイニーゼビウスmkIIのカセットテープ（A面） をセットして、RETURNをおしてください。
5. PROG,DATA1,DATA2,DATA3の4つのデータがロードされると終了です。

■操作方法

• ロードが終わると「たまのいろは」と聞かれるので、敵弾の色をお好みで選択してください。
• 次に「パレットは」と聞かれるので、カラーパレットをお好みで選択してください。MSX1（V9938搭載機を除く）はカラーパレット非対応なので、必ず「おまかせ」を選んでください。
• タイトル画面でスペース（またはトリガー）を押すとエリア選択モードになります。カーソルキー上下でエリア選択後、もう一度スペースを押すとゲームがスタートします。
• カーソルキー（またはジョイスティック）でソルバルウを操作し、スペースキー（またはトリガー）でザッパーとブラスターを同時に発射します。
• ゲーム中にHOMEキーを押すと一時停止、もう一度押すと解除です。
• MSX2+以降で、ゲーム中にINSキーを押しながらHOMEキーを押すと、速度切替を行うことができます。MSX2+は２段階（ただしA1WX系のみ）、turboRは３段階の切り替えが可能です。

■カスタマイズ

遊ぶたびにテープから直接ロードするのは時間もかかりますし、そもそもturboRではカセットインターフェースがありません。
また、「すでにイメージ化してあるので、元のテープはなるべく再生したくない」という方も多いかもしれません。

そういう方のために、ROM版・ディスク版・MSXテープ版を作成するためのバッチを用意しておきました。
一度スタンドアローンのMSX版を作成しておけば、元のテープは必要ありませんし、turboRの高速モードで遊ぶこともできます。

１）バイナリーデータの抽出

P6版タイニーゼビウスmkIIから、どうにかして、以下の4つのバイナリーファイルを抽出します。



ファイル名	P6版実行時アドレス
PROG.BIN	8E00H-BFFFH(3200Hバイト)
DATA1.BIN	0000H-3FFFH(4000Hバイト)
DATA2.BIN	4000H-587FH(1880Hバイト)
DATA3.BIN	6C00H-7FFFH(1400Hバイト)


いくつかの方法を以下に挙げてみます。



○方法1 MSX実機でフロッピーディスクにコピーする

MSX実機を使って、タイニーゼビウスmkIIのテープから直接バイナリーデータを抽出し、MSXのフロッピーディスクに保存します。
【必要なもの】FDD付MSX、データレコーダ、タイニーゼビウスmkIIのテープ


1. ダウンロードした MakeXEVmk2MSX.zip の DIRECT/SAVERフォルダにある p6saver_1200.wav または p6saver_2400.wav をPCで再生し、MSX実機で cload してください。（同フォルダにあるBASICプログラム（P6SAVE.BAS）を自力で入力しても構いません）
2. run した後は、画面の指示に従ってください。タイニーゼビウスmkIIのテープを再生しながら、フロッピーディスクにデータをコピーしていきます。
3. コピーがすべて終了したら、Windows等でそのフロッピーを読み込み、各バイナリーを抽出してください。



○方法2 PC-6001mkII実機でフロッピーディスクやSDカードにコピーする

PC-6001mkII/PC-6601実機を使って、タイニーゼビウスmkIIのテープからロードしたデータを、フロッピーディスクやSDカード（要SDカードアダプタ）に保存します。
【必要なもの】FDDまたはSDカードアダプタ付PC-6001mkII/PC-6601、データレコーダ、タイニーゼビウスmkIIのテープ


1. フロッピーディスクやSDカードを接続した状態で P6mkII/66実機を起動し、MODE 4・FILES 0・PAGE 2 を選択してください。
2. 市販のタイニーゼビウスmkIIを通常通りテープから cload してください。
3. LOADER の読み込みが終わったら、リストを以下のように書き換え、保存用のフロッピーディスクやSDカードを挿入した状態で run してください。

   1000 POKE&H8D84,0:POKE&H8D85,&H8E 1025 BSAVE F$,&H8E00,B*256+A

4. テープからロードが終わるたびに、自動的にフロッピーディスクにデータを保存します。
5. 「たまのいろは」が出たところで STOP して、files を確認してください。フロッピーディスクに PROG、 DATA1、 DATA2、 DATA3 の4つのファイルが保存されていれば成功です。
6. PCでこれらのファイルを抽出して、方法4を参考に余計なヘッダ部分を削除し、PROG.BIN、 DATA1.BIN、 DATA2.BIN、 DATA3.BIN のようにリネームしてください。





○方法3 P6エミュレータを使ってバイナリーを抽出する

P6版タイニーゼビウスmkIIのテープイメージファイルがあれば、P6シリーズのエミュレーターを使って、必要なファイルを簡単に抽出することができます。
【必要なもの】タイニーゼビウスmkIIのテープイメージファイル、PC6001VW等のエミュレータ

ここでは、エミュレーターPC6001VWを使う場合で説明します。


1. PC6001VWにテープイメージをセットしてタイニーゼビウスmkIIをロードし、「たまのいろは？」と聞かれるところで、[ALT]+[F6]を押してモニタモードに入ります。
2. getbin PROG.BIN 0x8e00 0xbfff を実行します。
3. getbin DATA1.BIN 0x0000 0x3fff を実行します。
4. getbin DATA2.BIN 0x4000 0x587f を実行します。
5. getbin DATA3.BIN 0x6c00 0x7fff を実行します。
6. PC6001VWの開発用フォルダ（デフォルトでは PC6001VW\dev）に4つのバイナリーファイルが保存されているはずです。



○方法4 テープイメージから直接バイナリーを抽出する

タイニーゼビウスmkIIのテープイメージファイルだけしかない場合でも、バイナリーエディタ等で直接必要な部分を抽出することができます。
【必要なもの】タイニーゼビウスmkIIのテープイメージファイル

各ファイルの先頭と最後は以下のようなデータになるので、 これを参考に、イメージファイルからそれぞれのサイズだけ手作業で切り出して、別ファイルとして保存してください。



PROG.BIN 6F 1E 00 CD 88 8E 2E 27 1E 02 CD 88 8E 21 06 F8 22 CE B5 3E 0A 32 CD B5 3A CE B5 5F 0F 21 13 B7 85 6F 3A CD B5 77 6F CD 88 8E CD 8F 8F CD 61 10 CB 57 C4 6C 8E CB 5F C4 78 8E CB 7F 20 13 3E 01 　　: 1E 1E 00 00 1E 1E 1E 1E 00 FF 72 BE BE 06 13 27 34 41 4E 00 FF E3 BF 00 FF 00 FF 00 FF 00 FF 00 FF 00 FF 00 FF 00 FF 00 FF 00 FF 00 FF 00 FF 00 合計サイズ 3200H（12800）バイト

DATA1.BIN 80 80 20 80 00 A2 00 22 08 22 00 88 00 08 02 A8 08 82 00 82 00 08 00 0A 00 00 00 08 00 00 00 00 80 80 20 80 00 A2 00 20 08 20 A0 88 08 08 08 A8 08 80 22 00 20 00 20 00 A0 00 28 00 20 00 00 00 　　: 24 24 24 24 24 24 24 24 24 1D 25 16 0A 1D 1C 1E 24 24 1C 11 12 16 0A 24 24 24 24 24 24 24 24 24 24 2A 2B 2C 2D 2E 2F 24 24 24 24 24 24 24 24 24 合計サイズ 4000H（16384）バイト

DATA2.BIN FC 01 3F 40 FC 01 3F 80 FC 03 3F C0 FC 03 3F C0 F0 07 0F D0 F0 07 0F 90 F0 09 0F A0 F0 05 0F 90 C0 19 03 64 00 59 00 A5 00 67 00 D9 00 67 00 E9 00 67 00 D9 00 67 00 E9 00 65 00 99 0C 62 30 89 　　: C0 3D 03 54 C0 1F 00 55 C0 37 03 54 C0 3F 0F 50 C0 1D 3F 40 C0 15 FF 00 C3 14 FF 00 CF 10 FF 00 CF 10 FF 00 CF 10 FF 00 00 55 FF 00 00 55 FF 00 合計サイズ 1880H（6272）バイト

DATA3.BIN 22 0C 04 21 10 04 21 14 04 20 18 04 20 1C 04 1F 20 04 1F 24 04 1E 28 04 1E 2C 04 1D 30 04 1D 34 04 1C 38 04 1C 3C 04 1B 40 04 1B 42 07 1A 44 06 1A 46 05 1A 48 04 1B 4A 07 1C 4C 06 1D 4E 05 1E 　　: 00 FF 01 FF 00 01 01 01 00 01 01 01 64 4C 7F 32 10 9D 21 10 A1 22 0E A1 C9 21 16 A1 22 0E A1 C9 DD 21 80 DD 06 04 C5 DD 7E 04 FE FF CA C2 A0 FE 合計サイズ 1400H（5120）バイト




２）コンバート

1. 解凍したファイルの中の srcフォルダに、上で準備した PROG.BIN、 DATA1.BIN、 DATA2.BIN、 DATA3.BINをコピーしてください。
2. バッチファイル MakeXEVmk2MSX.bat を実行してください。
   



３）出力ファイル

バッチファイルを実行すると、outフォルダ以下に、以下のMSX用のデータが出力されます。

romフォルダ
• MSXで実行可能なROMデータが出力されます。
• TXEV2.ROM が、MSX用のROMイメージです。FlashROMに焼いたり、エミュレーターで動作させることができます。ROMタイプは ASCII 8にしてください。

diskフォルダ
• フロッピーディスク環境で実行可能なファイルが出力されます。
• ここにあるファイルをすべて1枚のフロッピーディスクにコピーして、MSX実機にセットしてください。
• DISK-BASIC から、bload"LOADER",r で起動します。

tapeフォルダ
• MSX用のテープイメージが出力されます。
• 実機で動かすには、TXEV2.CAS を cas2tools等で音声に変換してください。
• BASIC から、bload"cas:",r で起動します。
• tmpフォルダ以下に、ファイルごとのテープイメージファイルがあるので、別々にwav化したい場合などはこちらを使ってください。ちなみに、すべてbloadフォーマットとなっています。

■最後に

技術的には、初代タイニーゼビウスの移植 と同じようなことをやっただけなのですが、初代と比べると、速度的にもメモリ的にもかなり厳しく、その辺りは苦労しました。
また、画面の描画タイミングが遅れてしまうので当たり判定がおかしく見えてしまったり、クロック周波数の都合でBGMが低かったりしますが、そこは大目に見ていただければと(^_^;)
MSXでは速度的に厳しいですが、turboRであれば、かなり快適に遊べると思います。（というか、turboRの速さに改めて驚きました）
最低限の動作確認しかしていないので、ぜひ、動いたら twitter等で @tiny_yarou まで教えていただければと思います。