ギャラクシアン(MSX)を改造しよう

方法０ スロット２に本体RAM以上の容量の拡張RAMカートリッジを差して動かしてしまえ（turboR以外）【2020/8追記】

twitter で @inouma1さん が偶然発見された方法です。

MSX/MSX2/MSX2+の仕様として、複数のスロットに同一アドレスのRAMが存在する場合、最もサイズの大きなRAMが有効になります。

つまり、外部スロットに「本体RAM以上の容量の拡張RAMカートリッジ」を入れて起動した場合、ページ3（C000H-FFFFH）は本体内蔵RAMではなく拡張RAMのメモリが使用されることになります。
また、外部スロットは「基本スロット」となっていることがほとんどなので、拡張スロット選択レジスタによって別のスロットに切り替わることがありません。
この状態でギャラクシアンを起動すれば、拡張スロット選択レジスタが破壊されても無視されることとなり、通常通りプレイすることが可能です。

こちらが最も安全にギャラクシアンを動作させる方法だと思いますので、拡張RAMをお持ちの方は試してみることをおすすめします。
（MSX2以上の場合、最低でも64KBの拡張RAMカートリッジが必要になります）

ただし、turboRは（高速にメモリアクセスを行う都合上）必ず本体内蔵RAMが選択されるため、この方法は使えません。

方法１ ROMのプログラムにパッチを充てて動かしてしまえ（RAM16KB以上）

まず、スロットには何も入れずにBASICを起動させて、以下のプログラムを入力（またはロード）してください。



10 FOR I=&HD000 TO &HD01B 20 READ A$:POKE I,VAL("&H"+A$):NEXT 30 PRINT"SET GALAXIAN AND PUSH ANY KEY" 40 A$=INPUT$(1):DEFUSR=&HD000:A=USR(0) 50 DATA 3E,01,26,40,CD,24,00,31 60 DATA 00,D0,CD,03,47,CD,C3,5C 70 DATA 21,16,D0,C3,1D,40,31,00 80 DATA D0,C3,47,40


RUNすると画面にメッセージが表示されるので、 電源を入れたまま、ギャラクシアンのROMを スロット１（※）に入れてから、何かキーを押してください（自己責任）
うまくいけば、MSX2以降の機種でもギャラクシアンが動くと思います。

…ただ、毎回プレイするたびにこのプログラムが必要になるので、ちょっと面倒です。
フロッピーディスクドライブがある人は、方法２を使ったほうが良いと思います。

（※）50行の "01" がスロット番号になっています。もしスロット１以外で起動したい場合はこの値を変更してください。

方法２ ディスク版を作ってしまえ（RAM64KB以上）

ディスク内蔵のMSX2であれば、ROMを吸い出してパッチを充てたものをディスクに保存しておけば、いつでも手軽にギャラクシアンがプレイできます。
最初の一度だけは電源を入れたままROMを差す必要がありますが、以降はディスクのみで起動することができるので、おすすめです。

作成方法ですが、こちらも、スロットには何も入れずにBASICを起動させて、以下のプログラムを入力してください。



10 FOR I=&HD000 TO &HD032 20 READ A$:POKE I,VAL("&H"+A$):NEXT 30 PRINT"SET GALAXIAN AND PUSH ANY KEY" 40 A$=INPUT$(1):DEFUSR=&HD018:A=USR(0) 50 POKE&H9012,&HD0:POKE&H9046,&HD0 60 PRINT"INSERT DISK AND PUSH ANY KEY" 70 A$=INPUT$(1) 80 BSAVE"GALAXIAN",&H9000,&HD015,&HD000 100 DATA 3A,42,F3,26,40,CD,24,00 110 DATA 21,00,90,11,00,40,01,00 120 DATA 40,ED,B0,C3,10,40,00,00 130 DATA 3E,01,26,40,CD,24,00,21 140 DATA 00,40,11,00,90,01,00,40 150 DATA ED,B0,3E,00,26,40,CD,24 160 DATA 00,FB,C9


RUNすると画面にメッセージが表示されるので、 電源を入れたまま、ギャラクシアンのROMを スロット１（※）に入れてから、何かキーを押してください（自己責任）

次に、ファイルを保存するフロッピーディスクをドライブにセットして、もう一度何かキーを押してください。
"GALAXIAN"というファイルがフロッピーに保存されます。

以上で作業は終了です。

実行するときは、フロッピーをセットして、BASICから BLOAD"GALAXIAN",R と入力してください。（ROMを差す必要はありません）

（※）130行の "01" がスロット番号になっています。もしスロット１以外から吸い出したい場合はこの値を変更してください。

方法３ ROM版を作ってしまえ

ROMを焼ける環境があるのであれば、とても簡単にMSX2対応ギャラクシアンが作れます。

ギャラクシアンのROMを吸い出し、以下の4バイトを書き換えてください。



オフセット	元	新
+0011H	00H	FDH
+0012H	00H	FFH
+0045H	00H	FDH
+0046H	00H	FFH


あとは書き換えたバイナリーをROMに焼けばOKです。
MSX1～turboRまで、すべてのMSXで動作するROMができると思います。

方法４ テープ版を作ってしまえ（RAM64KB以上）

ディスクもない、でもROMの後差しはしたくない、そういう方は、テープ版を作ることもできます。
ただし、16KBのデータをロードするにはそれなりの時間がかかるので、そのあたりはご了承ください。

作成方法ですが、例のごとく、スロットには何も入れずにBASICを起動させて、以下のプログラムを入力してください。



10 FOR I=&HD000 TO &HD032 20 READ A$:POKE I,VAL("&H"+A$):NEXT 30 PRINT"SET GALAXIAN AND PUSH ANY KEY" 40 A$=INPUT$(1):DEFUSR=&HD018:A=USR(0) 50 POKE&H9012,&HD0:POKE&H9046,&HD0 60 MS=3:SS=0:POKE&HD001,128+SS*4+MS 70 PRINT"SET TAPE AND PUSH ANY KEY" 80 A$=INPUT$(1):SCREEN,,,2 90 BSAVE"CAS:GALAX",&H9000,&HD015,&HD000 100 DATA 3E,83,00,26,40,CD,24,00 110 DATA 21,00,90,11,00,40,01,00 120 DATA 40,ED,B0,C3,10,40,00,00 130 DATA 3E,01,26,40,CD,24,00,21 140 DATA 00,40,11,00,90,01,00,40 150 DATA ED,B0,3E,00,26,40,CD,24 160 DATA 00,FB,C9


また、どのMSXでも動くようなプログラムを書くのはとても大変なので、今回は、自分の機種のみで動くプログラムを作成することにします。
自分の機種（実行したい機種）の、ページ１(4000H-7FFFH)のRAMのスロットを知っていることが前提となるので、知らない方は、マニュアルやweb、スロットチェッカーなどで調べてください。

何のことだかよくわからない方は、 MSXSlotInfoViewer を使って、自分の機種を選択し、ページ1のRAM（Normal RAM, Mapped RAM等)がどのスロットにあるかをチェックしましょう。
（ちなみに、代表的な機種のRAMのスロットですが、MSX2+以降の全機種は「スロット3-0」、FS-A1系のMSX2も「スロット3-0」、HB-F1系のMSX2は「スロット3-3」になります）

そして、RAMのスロット（メインスロット・サブスロット）の値を、60行のMSとSSの部分に記述してください。（スロット3-0なら MS=3:SS=0、スロット3-2ならMS=3:SS=2、というように）

その状態でRUNすると画面にメッセージが表示されるので、 電源を入れたまま、ギャラクシアンのROMを スロット１（※）に入れてから、何かキーを押してください（自己責任）

次に、ファイルを保存するカセットテープをデータレコーダーにセットして、もう一度何かキーを押してください。
2400ボー（高速モード）で "GALAX"というファイルがテープに保存されます。（もし1200ボーでセーブしたい場合は、80行の "SCREEN,,,2" を "SCREEN,,,1" にしてください）

以上で作業は終了です。

実行するときは、テープをセットして、BASICから BLOAD"CAS:",R と入力してください。（ROMを差す必要はありません）

（※）130行の "01" がスロット番号になっています。もしスロット１以外から吸い出したい場合はこの値を変更してください。

電源を入れた状態でROMを差すときのコツ

• PAUSEボタンがある機種は、必ずポーズ状態にしてから差しましょう。
• BASIC起動直後にROMを差し、そのあとでパッチプログラムを実行しても大丈夫なので、ROMの後差しに失敗しやすい人は、そうしたほうが良いと思います。

最後に

結局何をやっているか、というメモをちょっとだけ。

MSX版ギャラクシアンは、起動直後、および割り込み発生時に、スタックポインタを 0000H に設定しています。

そのため、PUSHやCALLが一度でも発生すると、スタックが-2されてデータが格納されるため、FFFFHの内容が書き変わることになるのですが、実はこのFFFFHというアドレスは、MSXの「拡張スロット選択レジスタ」として使われています。

スロット拡張を行っていない機種であれば、このアドレスが書き換わっても挙動自体は変わらないのですが、MSX2以降の機種や、内部的にスロット拡張を行っているMSX1（ワープロ搭載機とか、ディスクドライブ内蔵機とか）は、そのアドレスに値が書き込まれた瞬間にスロットが切り替わってしまい、ほぼ100%暴走します。

というわけで、今回は、スタックポインタに0000Hを指定している２箇所を書き換えて、D000H以前を使うように対応しました。
ROM版の修正についてのみ、スタックにD000HではなくFFFDHを指定するようにしましたが、これはRAMが8KB（E000H-FFFFH）しかないMSXでも動くように、という配慮からです。
（新バージョンのギャラクシアンはスタックをFFFDHに指定しているようなので。ただ、本来こんなふうに使ってはいけないエリアですよね…）

動かないギャラクシアンをお持ちの方は、ぜひ試してみてください。